大事にしたいあれこれ③
いま 堀本君は アクセサリー制作を 趣味としている
金 銀 だけでなく
木目鋼(もくめがね) 赤銅(しゃくどう) 四分一(しぶいち) 烏鋼(からすがね)
日本古来の 金属を 少しずつ 自分の手で つくっている
昔ながらの やり方で つくっている
赤銅などは 色を出すのに
だいこんの絞り汁と 場合によっては 梅干がいるそうだ
ある金属は アオカビが 必要だそうで
今は そのための カビが 売られているのも なんだかおもしろい
最近は 木目鋼に こっている
2種類の金属を 層にして
平べったい板を複数つくり 重ねて たたいていく
最後に 削ると 木目のような模様が 出てくる
削ってみるまで
いい模様が出るか 出ないか わからない
堀本君の 先生は
京都で 伝統工芸(刀の柄部分の彫り物)の 修行をしたひとで
20代前半で なんだかすごい賞をとったひと
ヨーロッパで活動したり 教えたりして
今は 日本にいるけれど またそのうち いなくなるらしい
堀本君と その友人のS君は
その先生のことを
本人には 師匠
自分達の間では ヤーマダ
と 尊敬を込めて呼んでいる
ヤーマダの話は あとから私が 伝え聞いても おもしろい
今日は 金属の板に 水墨画の絵を 彫っていた とか
今日は 小さな落ち葉を たくさん作っていた とか
ヤーマダは 食べ物の好き嫌いが 多い とか
つくるための道具も
ものによっては 自分でつくる
そして つくり方の話を 聞くたび
「昔の日本は すごかったんだねぇ」
という 話になる
技術のレベルが 高い
発想が豊か
昔のひとが残してくれた すばらしいもの
三重にいるおじさんを思い出す
伊勢型紙の継承者であり 人間国宝
そのおじさんも 道具から自分でつくる
パルコの本屋で 伊勢型紙の図柄集を見かけたと話すと
送ってほしい といわれた
図柄のパターンは 江戸時代で 完成されていて
手ぬぐい模様のように いろんな意味を持っている
語り継がれず 消えてしまった図柄もあり
もし自分が知らないのがあれば ぜひ見たい ぜひ彫りたい
探求心が 強い
最近 江戸について書かれた本を いろいろ読んでいる
江戸は とても自由な国だ
士農工商が どうのこうのは 言いすぎの話
町人 職人は とても自由に 生活を謳歌していた
よっぽど特別なものでない限り 職業だって ころころ変えた
あの時代 世界有数の大規模都市だった江戸の治安
中期以降は 町の自治がしっかりしていたため
警察官的 お役目の人物は 江戸で12人程しかいなかったらしい
殺人やら 心中は 何年も語り継がれるほど 珍しい出来事だったという
時代劇のような辻斬りなんて まさかまさか という感じ
(心中ということば
吉宗が“そんな行動を「忠」を逆さまにして呼ぶとは何事か”といってから
「相対死に」と呼ぶようになったらしい。笑)
また江戸は ものすごいリサイクル社会
不用品を回収して 新たに生まれ変わらせるべく いろんな職業のひとがいたし
お金がなくても
路上で シャレの効いたパフォーマンスをすれば 難なく暮らせたらしい
(どんなバカらしいことでも こったことをやれば やるだけ お金が入った)
人生は物見遊山
ふらり いろんなものを見て
ふらい いろんなことを経験して
宵越しの銭は持たない
知れば知るほど 奥深い
父に借りて呼んだ大江戸シリーズに始まり
間髪おかず 杉浦日向子の本に行き着いたのは 本当に偶然
朝 会社に行く 都営大江戸線の中で
私が立っている位置より 3席ほど左の席で
初老の男性が
ページの途中途中に 食べ物の小さなイラストの入った 文庫を読んでいた
気になったが ブックカバーもついていたし
席も遠かったので なんの本かわからないまま 忘れていた
数日後の大江戸線
なにげなく前に座っているひとの 本が目に入り
また挿絵が気になる
思い出せば 数日前と同じタッチの挿絵
よく見れば 数日前のあの初老の男性
失礼なのは承知で
ページの上端に 目を凝らしたら
「ごくらくちんみ」 と 書いていた
帰ってさっそく検索
小説は「ごくらくちんみ」と「4時のおやつ」の2冊のみ
あとは 江戸時代についての本を 書いている作家だった
アマゾンでまとめて頼み 先週土曜に6冊届く
(今読みかけのほか あともう1冊を残すのみ)
完全な小説である 石川英輔のシリーズを読んでから
ガイドブックのような 杉浦日向子の
『一日江戸人』や『大江戸美味草子』などを読むと おもしろい
この順番もよかった
何年か前に ガレのガラス展のついでによった
江戸博物館
今ならもっと 身近に感じるはず
歴史の教科書は いわば報道ニュース
ネタになりそうなとこだけ 載せて
わかりやすい色をつける
世の動きに関係ない 平穏無事なことは
わざわざ 語ることなく 一行ですまされているのかもしれない
その間隙こそが おもしろいのに
残していかなければならないのに
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